蝶は花を求めて

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一人にされてしまったすずはぷんぷんしながらタオルで髪を乾かし、ユーリの為にカーテンを閉めて座り込んだ。 なにをしようか迷って、不意にユーリの着物が視界に入ってそこから櫛と鏡を取り出した。 そして髪を梳かす。 あんまりぺったんこにしないように、ある程度のところで止めた。 櫛と鏡を元に戻し、再びなにをしようか困る。 と、また不意に自分の荷物が目に入って袋の口を開けた。 ワンピースの可愛らしいピンクの生地が目に入り、可愛いなぁ、とそれを手に取ろうとした時、同時に写真の入った箱にも手が当たった。 そういえば、と思ったすずは袋の奥に手を突っ込んで一番下に入れられた四角い箱を取り出した。 青い箱。 すずはドキドキしながら一度ユーリに目をやって彼が寝ていることを確認し、彼に背を向けてゆっくりと箱を開けた。 やはり中身は写真で、一番上の物はユーリとひめゆり同様赤ちゃんの写真だった。 「…………」 すずは一枚ずつ写真をめくって行く。 一枚めくるごとに赤ちゃんはゆっくりと成長していき、男の子であることが分かる。
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