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すずは何故か印象に残った最後から三枚目の写真を手に取り、じっと再び見つめた。
中心にユーリの兄、彼の右側にユーリ、左側にひめゆりが写っているスリーショット。
真ん中の兄は薄く微笑み、ユーリは相変わらずの無表情、むしろカメラを睨みつけ、ひめゆりは可愛らしく内股でピースをして満面の笑みを浮かべている。
性格も見た目もバラバラな三兄妹だ。
それぞれ親が違う、と言っていたが、それが影響しているとしか思えない。
すずはしばらくこの写真に写っているユーリを見つめていた。
端から見ればただの無愛想な男の子にしか見えないが、すずには何故か、彼が悲しんでいるように見えて胸が苦しくなった。
「……ん」
「!?」
突然ユーリが身動きを取って、それにびっくりしたすずは慌てて写真を箱にしまい、蓋をして袋の中に戻した。
結局ユーリは起きなかったが、心臓がバクバクしている。
すずはユーリが起きないことを確認すると、一度時計を見てから布団に寝転んだ。
そして目をつむり、闇の中で考える。
なぜ、ユーリの写真は兄と比べて極端に少ないのか。
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