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その言葉にすずがバッと顔を上げ、彼女の視界に彼の顔が入った途端またぽかんとする。
悪戯っ子の笑み。
ユーリの顔にはそれがあった。
「あ、えっと……行く! すず、お祭り行きたいし」
「了解。なら、さっさと服着ろ。もうだいぶ盛り上がってるみたいだからな」
「うん!」
すずは元気よく返事をして立ち上がると、少し悩むようなそぶりを見せてから再びユーリを見上げた。
「どした?」
ユーリは既にいつものように着物を着ている。
すずはもじもじしながら小さくなにかを言った。
「あ? 聞こえねぇよ」
全く聞き取れなかったユーリに言われて、すずはキャミソールの裾をギュッと掴みながら先程よりも少しだけ大きい声で言った。
「……ピ、ピンクのワンピース……着て良い?」
「……別に良いけど? でも普通、祭ってのは浴衣着て行くんだぜ? オレらはいつでも着物だけど」
「……変かな?」
ユーリは一度首を傾げてから、別に良いんじゃね、と素っ気なく言った。
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