蝶は花を求めて

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「うわ、ちょ……ユーリ、助けて……!」 すずは人の波にさらわれて流されていた。 手を放さないのは偉い。 ユーリは呆れながら力一杯彼女を引き寄せ、道の端に寄った。 「ったく。危ねぇだろ」 「ごめん……」 怒られたすずはしょぼんとして俯く。 ユーリはそんな彼女を見て少し考え込み、そして不意に彼女の前に腰を降ろした。 「? なに?」 「おぶってやるよ。手ぇ繋ぐだけじゃぜってぇはぐれる」 「お、おぶ……おんぶってこと?」 すずはカァ、っと顔を赤くして、少し躊躇うようなそぶりを見せてからユーリの背中に乗っかった。 あったかい。 「お、重くない?」 「重いわけねぇだろ。三十キロくらい」 「さ、三十もないし! 前測ってもらった時、二十四キロだったし!」 ユーリははいはい、と言いながら立ち上がり、道に戻った。 賑やかな祭の光景。 それがすずの目に飛び込んで来て、自然と笑顔になる。 「すご~! 人いっぱいいる! お店もいっぱい!」
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