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「なぁ。食わねぇの?」
「へ? ああ、リンゴあめ! 食べるよ? あのおじさん二本くれたね。はい、一本ユーリにあげる!」
ごそごそと袋から取り出しながらすずは言い、一本をユーリに差し出した。
差し出されたユーリは顔の前で手を振って苦笑する。
「オレはいらね。お前が食べな。ちょっと一服させてもらうな」
「え~? いらないの? せっかくくれたのにぃ。……まぁいいや。おっきなリンゴ」
すずは嬉しそうに言いながらセロファンを剥き、自分の顔くらいもある大きなリンゴを見つめた。
飴に包まれたリンゴはツヤツヤと輝いて、とてもおいしそうだ。重さもある。
「おいしそ~。いただきま~す」
言って、ペろりと飴を舐める。
途端幸せになる甘さが体を駆け巡り、すずは笑顔になる。
「おいし~! ユーリ、これスッゴく美味しいよ!」
「よかったな」
窓辺でキセルをくわえながらユーリは笑顔で言うも、顔がこちらを向いてくれない。
すずは少し不思議に思ったが、早くリンゴを食べたくてぺろぺろと飴を舐め続ける。
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