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「ああ、いいぜ。まあ、さすがに起きると思うけどな」
その言葉の意味がよく分からなかったすずは一旦首を傾げたが、すぐにまた飴を舐める。
ユーリは右腕を枕にしながら、左手で胸元のネックレスを無意識のうちに弄っていた。
銀色の綺麗なネックレス。
次第に視界がぼんやりと滲んで来て、そしてそのまま、ユーリは眠りの中に落ちて行った。
爆発音を聞いて目を覚ました時には、外はもう暗く、爆発音が響くたびに明るい光が自分を照らす。
「ユーリ、ユーリ! ほら、花火! 始まったみたいだよ!」
ああ、花火の音か、と理解したと同時に、激しく体を揺すられて完全に覚醒する。
「んな揺らすなよ。起きてるよ」
「だって綺麗だよ! ほら、早く!」
妙にテンションの高いすずは嬉しそうに言って、すぐに窓辺に走って行く。
ユーリはまだ眠たい目を必死になって開き、頭を掻いて部屋の電気を消してから窓辺に向かった。
真っ暗になった部屋から見えるのは、暗い空。
視界の下には控え目な光を放つ提灯がちらちらと入り込んでくる。
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