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すずは突然のことにキョトンとし、しばらく花火そっちのけで雑に閉められたドアを見つめていた。
「……っ、く」
ユーリは部屋のドアに背を預け、肩で息をしながら痛みが治まらない頭を抱える。
冷や汗が止まらない。
心臓が暴れて、まともに呼吸もできない。
更に眩暈と胸やけと、自分の意識を保つことができない。
苦しくて痛くて、辛くて、思わず座り込む。
「…………」
頭と胸を抑えながら天井を仰ぐ。
花火の音が体中に響いて、落ち着かない心を更に震わせる。
さっき見えたのはなんだ?
いや、自分では分かっている。
でもどうして。
この感覚を、自分はどこかで知っている。
「っ……」
ズキリとまた痛みが走って、吐き気を感じて、ユーリは深呼吸を何度もする。
しかしその効果は全くなく、鼓動は余計に心拍数を増やしてユーリを追い詰める。
「ユーリ? ユーリ、大丈夫?」
「……? ……あぁ、悪ぃ。……ちょっと一人にさせてくれ」
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