蝶は花を求めて

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「おい、なんでついてくんだよ」 裾を捕まれた青年は小さい鈴蘭を見下ろしながら言った。 少女は長身の彼を見上げて言い返す。 「だって助けてくれたし。べ、別に良いでしょ。行く場所、ないし……」 「オレも行く場所ねぇけどよ。なんかオレ、危ない趣味の誘拐犯みたいじゃねぇ?」 「気にしなくて良いよ。子供です、って言えば」 彼女の言葉に青年は顔を歪める。 いきなり饒舌になりやがって。 「……あのさぁ。お前、オレがいくつに見えてる? てか、こんな格好してる親いるか?」 「さぁ。でも、世の中いろんな人がいるから」 「……まず。オレはこう見えてもまだ二十四だ。お前みたいなデカイガキ、いるわけねぇの」 深くため息をついてから、青年は言った。 鈴蘭は彼の裾を掴んでいない方の手を顎に当てて、なにやら考え込む。 そして口を尖らせながら言った。 「……まだ八歳なんだけど」 「その計算だと、オレが十六で父親になってんだろ? 言っとくが、オレは一生結婚もガキ作る気もねぇんだよ」
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