蝶は花を求めて

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「ん……分かった。ほんとに大丈夫?」 心配そうなすずの声に、ユーリは見える訳もないのにその場で頷き、深いため息をついた。 目をつむり、なにも考えないようにする。 だが、しきりに聞こえる花火の音がそれを邪魔する。 低い爆発音はユーリの胸を震わせて、落ち着かせる暇を与えない。 「…………」 それすらも無視することが出来れば、あっという間に頭痛も胸やけも眩暈も無くなり、冷や汗も引っ込む。 ユーリは床や壁を支えにしながら立ち上がると、今までで一番深い深呼吸をしてドアを開けた。 すずを見ないように。 視線は常に下に向けて。 「あ。ユーリ、大丈夫?」 「……あぁ。なぁ、すず。花火をお楽しみ中に悪いんだが、服、変えてくれねぇか?」 「へ? あ、わかった」 意味の分からない要求に疑問を抱きながら、すずは慌ててワンピースを脱ぎ捨てた。 キャミソール姿になったすずは、心配そうにユーリを見上げる。 「これで大丈夫?」 その言葉にユーリは顔を上げる。 鼓動は、暴れない。
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