8人が本棚に入れています
本棚に追加
言って、すずは林檎飴をかじった。
良い音は耳に届かない。
「ん、美味しい」
「全く旨そうに見えねぇけど」
「良いの! 食べてるのはすずなんだし!」
ユーリの言葉にすずは腕を振り上げながら言い、それを見たユーリは苦笑した。
すずはその後、茶色くなったリンゴを見つめて、しばらくしてから再びユーリに目を向けた。
「ねぇ、ユーリ。なんでリンゴ、茶色くなっちゃったの?」
「あ? ……ああ、酸化したからだよ」
「さんか?」
すずは首を傾げ、頭の中でリンゴが 茶色くなる会 に参加しているのを想像する。
そして、すぐにその図を消した。
「さんかってなに?」
「錆びるってこと。お前、錆も知らねぇか? とにかく、物ってのは置いとくと空気中の酸素とくっついちまうんだよ。そうなると、いろいろ変化すんだよ」
「ふぅん、酸素と……。よくわかんないけど、わかった!」
すずの答えにユーリは呆れてため息をつく。
最初のコメントを投稿しよう!