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『お兄ちゃん、お兄ちゃ~ん』
甲高い声。
またあいつはオレのところに来るつもりだな。
階段を駆け上がって来る音が聞こえる。
『ねぇ、居るなら返事してよぉ!』
ほんと、こいつには礼儀ってもんがねぇ。
部屋に入る時はノックしろって、何度言った?
『勝手に入って来るなよ。犬じゃあるまいし』
『良いじゃない。だって兄妹でしょう? ねぇねぇ、今日もお兄ちゃんの部屋に居て良い?』
『またぁ? お前、もういくつだよ。いい加減兄離れしろって』
そう言えば、こいつはオレにくっついてきて、犬みたいに甘えて来る。
『良いでしょ~? お兄ちゃんのお部屋が一番落ち着くの~』
『……ったく、勉強の邪魔だけはすんなよ? 今度の試験だけは、失敗出来ないからな』
『別にお兄ちゃんはお勉強しなくても……。お兄ちゃんは自由に生きれば良いのに……』
オレだって、そう出来るならそうしてぇよ。
でも無理なんだ。
オレには、自由なんて永久に訪れない。
『じゃあ私、ここでお兄ちゃんの背中見て応援してるね?』
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