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「わっ! わっ!?」
背の小さい鈴蘭はその歩幅について行けず、一度コケてから駆け足で彼についていく。
茶屋の前に着くと、彼女はムッとしながら青年を見上げた。
「すんませ~ん、やってます?」
「おぉ、いらっしゃい。珍しいね、お客さんなんて。さぁさ、お好きなとこに座って下せぇ。あ、タバコは遠慮してくれよ」
青年が声を掛けると奥から店主が現れれ、笑顔でそう言った。
青年は頷き、キセルを片付けると店の奥にある席に座った。
手を放していた鈴蘭はどうしようか悩んで、店の前でもじもじしてから彼の向かいに座った。
「なにか食うか? オレはぁ~、ん~……」
お品書きを見ながら悩む青年。
軽食しかない。
ボリュームがあるのはパフェだけだ。
「べ、別にお腹空いてないし…………ぁ」
ぷいと顔を背けた途端、お腹が鳴った鈴蘭。
青年はぷっと吹き出して、お品書きを鈴蘭に見せた。
「好きなの食って良いぜ。お前も腹減ってんだろ?」
「ぅ……」
言われて鈴蘭はお品書きを見る。
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