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髪が梳かし終わるのとほぼ同時に、パフェが二つ来た。
鈴蘭は目を輝かせて、上に乗ったイチゴを見つめる。
店主がまた下がって行くと、鈴蘭は頬を赤く染めてスプーンを手に取り、生クリームを掬おうとした。
「いただきますは?」
「え? あ、い、いただきます……」
クロユリの言葉に慌てて手を合わせ、それから生クリームを掬った。
そしてそれを口に入れた瞬間、幸せそうに頬を緩めた。
「おいし~! すず、こんなに美味しいもの食べたの初めて!!」
「大袈裟過ぎだろ。こんなもん、どこででも食える」
「だから、すずは研究所にいたって言ってるでしょ、もう」
クロユリはやれやれとため息をついて櫛をしまい、手を合わせてから自分の分を食べ出した。
思っていたより甘い。
鈴蘭は黙々とパフェを食べ続け、半分ほど食べたところでちらりとクロユリの抹茶パフェに目を向けた。
「なんだ? 食いたいのか? って、クリーム付けすぎ」
クロユリは呆れて、ちり紙でクリームだらけの鈴蘭の顔を拭いてやる。
「……一口食う?」
「いいの?」
「そんな顔で見られたら、断るもんも断れねぇよ」
言ってクロユリはパフェを鈴蘭の方に寄せた。
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