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「そ、自然のもの。最近の食材はクローンな上、着色料やら保存料……その他諸々に漬け込まれてる毒だ。オレはそれが嫌いでね」
クロユリはそう言ってキセルに火をつけた。
「タバコ吸ってる人が言えることじゃないと思うけど……。すず、タバコ嫌い」
「うっせ。これは自分の意思で吸ってるから良いんだよ。とっくに中毒になってるしな。今更止められねぇよ」
「……自慢できることじゃないよね。タバコって、周りの人にも毒が行くんだよ? それ考えてる?」
クロユリは鈴蘭の言葉を無視して歩き出す。
置いて行かれた鈴蘭は口を尖らせて彼についていく。
煙の匂いがキツイ。
「ま、とにかくどこまでついて来るのか知らねぇけど。すず、で良いんだよな?」
「すずの話無視した……。良いよ、すずで。ユーリはユーリね。良い?」
「ああ、お互い様だ。なんか目的とかねぇのか? ねぇなら孤児院にでも置いてくつもりなんだけど」
「え!?」
ユーリの言葉にギョッとしたすずは慌てて、なにかを探す仕種を取る。
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