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その間もユーリは先を行ってしまう。
すずは慌てに慌て、そしてなにかに気付いて袂から一枚の紙切れを取り出した。
折り畳まれたそれを開いて、走ってユーリに見せる。
「こ、これ! ママを探すの!」
「は? ママはいないって言ってたろ」
ユーリが紙切れを受け取った瞬間、飛空機が後ろから飛んで来て突風を残して去って行った。
「ちっ、暴走車め。髪が乱れたじゃねぇか……」
ユーリは頭を数回振ってから飛空機の尻を睨んで呟き、手渡された紙に書かれた数字を見つめた。
と、
「あーん、髪がぁ~。せっかくユーリに綺麗にしてもらったのにぃ」
後ろからすずの声が聞こえてきて振り返る。
彼女は髪がぐちゃぐちゃになってしまって、どこが顔か分からなくなってしまっていた。
必死に髪の毛を掻き分けているすずを見てユーリは呆れ、適当に銭を出して彼女に渡した。
「ほら、そこに土産屋あんだろ。そこで好きな髪留め買って来い」
「ぇ? 良いの?」
やっと目が見えてきた。
その様子にユーリは一度笑い、頷いた。
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