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「あの椅子で待ってっから」
「ありがとう!」
すずは嬉しそうに銭を受け取ると、駆け足で店に向かった。
ユーリはため息をついて土産屋の前にある椅子に座り、再び紙に目を向けた。
『No.E-424856』と書かれているだけの紙。
これのどこがママの情報なのだろう。
裏を見るが、何も書いていない。
「……?」
困惑しながらユーリは頭を掻き、考え込む。
と、店内から声が聞こえてきて彼はそちらに意識を向ける。
「よかったねぇ。パパが買って良いって言ってくれたの?」
「ん~、うん。そう!」
(なんだ? まさかオレ、あいつの父親だと思われてんのか?)
ありがとね~、と店員の声が聞こえた直後、すずが出て来た。
手には小さい袋が握られている。
「買って来た? てか、オレが父親だなんて嘘つくなよ」
「だってお店の人が言うから……。よく聞こえたね。声、おっきかった?」
いや、別に……とユーリは言って、紙を返した。
すずはそれを受け取ると、小さい袋をユーリに渡した。
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