蝶は花を求めて

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袋の中にはヘアゴムとお釣りの銭が入っていた。 「なんだ? もっと派手なもん選ぶと思った」 すずが買ったヘアゴムはゴム部分に花柄の刺繍がされた、ぱっと見地味なものだった。 「よく見てよ! ゴムのところ、お花になってるでしょ?」 「あ~、ほんとだ。びみょ~」 「いいの! すずが良いと思ったやつだし!」 はいはいと言って、ユーリは彼女に、自分に背を向けるよう言う。 キセルを置いて、櫛を出して髪を梳いてやる。 頭の真ん中で髪を二つに分け、耳の下で縛ってやった。 「こんな感じで良いか?」 鏡を手渡すと、すずは結んでもらったところを写すように顔を動かしてこくんと頷いた。 「ありがと! スッゴく良い感じ!」 二つに結ばれた髪がつんつんしていて可愛らしい。 ユーリは鏡を受け取り、櫛をしまい、キセルをくわえて息を吸って吐く。 「で、その紙の数字。なに意味してんだ? 訳分かんねぇんだけど」 「すずもよくわかんない……。でも、パパが時々すずのことをこの番号で呼んでて、ママと一緒だって……」
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