蝶は花を求めて

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言ってこいつはオレから離れて、オレの真後ろにあるベットに腰を降ろす。 しばらく静かだったのだが、背中を先端の柔らかい矢印で突かれているような気がして、振り返った。 『……お前なぁ、視線が痛い』 『え? あぁ、ごめんなさい。でも、お兄ちゃんを見てたくて……』 『オレの背中見てたってつまんねぇだろ?』 言うとお前はいつも、口を尖らせて体を小さくして、上目でオレを見上げるんだよな。 我が妹ながら、本当に可愛い奴だな。 『んな顔すんなよ。わかったよ、もう寝る。お前もそれ目的で来たんだろ?』 ぱっと顔を明るくして。 さっきの表情は演技か? 将来は女優にでもなりやがれ。 結構売れると思うぜ? 『ふふ、バレちゃった? でもお勉強は?』 『まぁ、毎日こんだけやってるから、なんとかなるだろ。お前の顔見たら、どうでも良くなった。ほら、さっさと寝ろ』 『うん!』 ごそごそと一人で布団の中に潜り込み。 お前はオレのことを待つ。 『こんな年にもなって一緒に寝る兄妹なんて、多分どこにもいないと思うけど?』
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