8人が本棚に入れています
本棚に追加
言ってこいつはオレから離れて、オレの真後ろにあるベットに腰を降ろす。
しばらく静かだったのだが、背中を先端の柔らかい矢印で突かれているような気がして、振り返った。
『……お前なぁ、視線が痛い』
『え? あぁ、ごめんなさい。でも、お兄ちゃんを見てたくて……』
『オレの背中見てたってつまんねぇだろ?』
言うとお前はいつも、口を尖らせて体を小さくして、上目でオレを見上げるんだよな。
我が妹ながら、本当に可愛い奴だな。
『んな顔すんなよ。わかったよ、もう寝る。お前もそれ目的で来たんだろ?』
ぱっと顔を明るくして。
さっきの表情は演技か?
将来は女優にでもなりやがれ。
結構売れると思うぜ?
『ふふ、バレちゃった? でもお勉強は?』
『まぁ、毎日こんだけやってるから、なんとかなるだろ。お前の顔見たら、どうでも良くなった。ほら、さっさと寝ろ』
『うん!』
ごそごそと一人で布団の中に潜り込み。
お前はオレのことを待つ。
『こんな年にもなって一緒に寝る兄妹なんて、多分どこにもいないと思うけど?』
最初のコメントを投稿しよう!