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「ふぅん……」
聞いたユーリは空を見上げ、すずはじっと紙を見つめる。
「ママ、まさか数字だったのか?」
「よくわかんない……。パパに聞いたら、ママはすずが生まれた時にどこかに行っちゃったって。だから、もしかしたら探したら会えるかもって、思って……」
「数字でねぇ。離婚したってなら、捜せば会えるかもな。死んでたら話は別だが。……その数字がどこまで役立つか謎だけどな。大事に取っとけよ」
うん、とすずは頷いて紙をしまった。
しばらく無言の時間が続き、ユーリが四度煙を吐いたところで彼は立ち上がった。
すずもそれについていき、口を開く。
「そうそう。ユーリって、髪結んでくれるの上手だね。美容師さんやってたの?」
「自慢じゃねぇけど、オレは今まで定職についたこと一度もねぇんだよ」
「ぇ? そ、そうなんだ……」
なんだか苦しげな声。
絶対ドン引きしている。
「女の髪結べんのは、妹がいたからな。毎日オレが結んでやってたから」
「へぇ。ユーリってお兄ちゃんなんだ」
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