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ユーリは頷いて、それから一拍開けて続ける。
「……弟でも、あるけどな」
「じゃあ、真ん中? 良いなぁ。すず、兄弟いないから。兄弟って楽しい?」
そう聞かれたユーリは少しの間黙り込み、小さく頷いた。
「ガキの頃はな。今は、別に」
「そうなんだ。なんか、真ん中は大変だってパパから聞いたことあるよ。だからおっきくなったら変わり者になるって」
「悪かったな、変わりモンで」
コツンとすずの頭を叩いて、ユーリは言った。
すずは頭を押さえて、むぅ~、と変な声を出す。
「……で、お前はほんとにママを捜したいのか? 単に行く当てが無くて無理矢理目的を作ったんなら、オレは許さねぇぞ」
「……一応、ホントに会いたいし。会ったことないから」
「なるほどね。そんなら、オレがすずの付き添いってことだな。前は任せたぜ」
え、とすずは顔を強張らせ、立ち止まってしまったユーリを見上げる。
ユーリは何度も煙を吐いて、全く動こうとしない。
「どした? 早く行こうぜ?」
「い、意地悪!」
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