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声の持ち主は警察と、さっきの土産屋の店員だ。
「ちっ。すず、ちょっとこっち来い」
「え? キャア!?」
ユーリはすずの腕を掴んで細い道に入った。
突然のことに驚いたすずは彼の腕の中に入ったままポカポカと彼の胸を叩く。
「ちょっと、びっくりさせないでよ! すず、女の子なんだよ? 腕痛かったぁ!」
「しっ。静かにしろ。見つかりたいのか?」
「?」
言葉の意味が分からずに、すずは首を傾げる。
ユーリが目線で通りの方を示し、彼女はそちらに目を向ける。
警察用の飛空機が低速で通り過ぎて行くのが見えた。
「お前を捜してるみたいだぜ? 脱走犯として、な」
「…………」
言われて、すずは黙り込んだ。
急に鼓動が早くなって、苦しくなって、すずは座り込んでしまった。
「おい、大丈夫か?」
「……すずが脱走したから警察が来て……ユーリと一緒にいたら、ユーリも捕まっちゃうよね?」
「まあ、そうだろうな。匿ったら、そいつも犯罪者っつってたしな」
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