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即座にそう答えて、ユーリはすずを立ち上がらせた。
立ち上がった彼女は俯いてしまって、なにも言わない。
「気にすんな。とにかく、嫌だけどオレらは親子ってことにしようぜ。父親と一緒にいるって条件だけで、お前を鈴蘭として見る気はねぇらしいからな」
「でも、良いの?」
「めんどくせぇけど、これも何かの縁だろ? 宿探そうぜ。入っちまえば深入りして来ねぇだろ」
ニッと笑ってユーリはそう答え、キセルの火を消して辺りの気配を伺った。
そして通りに出る。
警察がうろついているからか、どこか緊張した空気が漂っている。
「確かこの通りにも宿があったはずだな。とにかくまずはそこを目指そう。話は、その中でゆっくりしようぜ?」
「う、うん……」
ユーリはキセルを袂にしまうと、臆することなく堂々と歩き出した。
すずはオドオドしながらゆっくりと彼についていく。
視線をいろんなところに向けて、警察がいないか確認している。
「あんまりキョロキョロしてる方が不審だぜ? 堂々と胸張ってな」
「っ! ん、うん……」
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