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「なに?」
「さっきのお話の続きだけど、なんでユーリはすずの味方してくれるの?」
「…………」
ユーリは言われて体を起こし、胡座を掻いてすずの目を見つめる。
どこか、濁った感じのする瞳だ。
少し怖い。
「……正直言うと、オレもある理由でエージェントと警察に追われてんだよ。もう五年以上逃げてるけどな」
「そうなの?」
「ああ。逃げ過ぎて、クロユリって人間が指名手配されてるってことを知らない奴の方が多いがな。お前を追ってたエージェントも、オレのこと知らなかっただろ?」
こくん、とすずは頷く。
あのエージェント達はユーリを捕まえるどころか、銃を向けて発砲までしていた。
「だからかな。同じような境遇の人間をほっとくほど、オレも冷たくないんでね」
「そっか……。なにしちゃったの? 誘拐? 殺人?」
「てめぇ、オレをなんだと思ってんだよ。……ま、そのどっちでもねぇってことは言っておく」
ため息をついて、ユーリは天井を見上げた。
天井も結構高い部屋だ。
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