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すずは腕を組んで首を傾げ、考えた後小さく言った。
「……もしかして、ユーリも研究所から脱走したの?」
「は? なんでそんな……」
突然の言葉にユーリは顔の位置を元に戻し、未だ腕を組んでいるすずを見つめる。
「だって、すずにジーピーエス? があること知ってたし。すず、そんなのがあるの知らなかったから」
「んなもん、一度警察かエージェントに世話になったモンは誰だって付けられるんだよ。大半は気付かないで場所探知されて、再逮捕されるけどな」
「そーなんだ。ユーリって物知りさんなんだね」
にこにことすずは笑って言った。
ユーリはその笑顔を見てから再び寝転び、すずに背を向けた。
すずはそんな彼に寄り、寝顔を覗き込む。
ちょうど右目が上になっているせいで表情は分からない。
「ねぇ、ユーリ」
「んだよ、さっきから何度も。寝かせろよ」
姿勢も変えずにそう言ったユーリを無視してすずは続ける。
「ユーリは、なんで右目隠してるの? 見えないの?」
「お前、話聞いてたか?」
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