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「だって、さっきユーリもすずの話無視したし」
えへん、と胸を張るようにすずは言うと、盛大なため息が聞こえて来た。
「……先風呂入って来いよ。そのあとならいくらでも話聞いてやるから」
「ぇえ? そんなこと言って、ほんとはごまかすつもりでしょ。パパ、いつもそうやってすずを騙したし」
「今回は嘘じゃないって言っとくよ。ほら、入って来い」
すずはぷくぅ~、と頬を膨らませて勢い良く立ち上がり、わざと足音を立てて浴室に向かって行った。
ユーリは浴室の扉が開き、閉まる音が聞こえると一つ息をついた。
なんだか本当に面倒臭いことに巻き込まれた気分だ。
自業自得だが。
ユーリは左腕を枕に、右手で一度銀色のネックレスに触れ、眠りについた。
それからどれ程寝ていたのだろう。
ふんわりと優しい石鹸の匂いがして、ユーリは目を覚ました。
「んん……上がったか?」
物凄い眠気の中無理矢理目を開けて部屋を見渡す。
しかし、すずはいない。
(……気のせいか?)
そう言えば、なにか夢を見ていた気がする。
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