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敷き終えると彼はすずを抱き抱え、布団の上に寝かせてやった。
思ったよりも軽い体で驚いた。
布団を掛けてやると少し体を動かして、小さく声を上げるすず。
深い眠りの中にいるようだ。
「…………」
全く、本当に一人では何もできない子供だ。
呆れながらユーリは着物を彼女の隣に置いてやり、座布団に座って机に頬杖をついた。
この時間に寝るのはさすがに無理だ。
さっき少し寝たが。
なにか時間を潰せるものはないかと考えるが、なにも思い付かない。
すずが寝ていては会話も出来ないし、何故かキセルを取り出す気にもならない。
「なぁにすっかなぁ……」
呟いて、また考えて、やっぱり思い付かない。
結局、まだ日が暮れていないが寝ることにした。
部屋の電気を消して、布団に入る。
すずに背を向けるようにして横になるが、彼女の小さい寝息が聞こえて来る。
「…………」
なんだか落ち着かない。
この感覚を既にどこかで知っているような気がする。
ユーリは極力なにも考えないように努め、そして太陽が完全に姿を消した頃、眠りについた。
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