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朝。目を覚ましたすずは自分が布団の中で寝ていたことにまず驚き、それから時計を見た。
短い針が十と十一の間にあって、長い針が六を指している。
「……えっと、十時、半?」
首を傾げながら必死に時計の読み方を思い出し、今の時間を当てる。
もう十時半。驚いたすずは隣で寝ているユーリを見下ろす。
今度は右腕を枕にしているから、彼の左目の長い睫毛が見える。
「ねぇ、ユーリ。ユーリってば」
肩を揺するが、起きない。
すずはムッとして、彼の耳元に顔を近付けた。
そして大声で言った。
「起きて~~っ!!」
「ウワッ!?」
すずの大声を左耳で受けたユーリはパッと目を覚まし、体を起こした。
左耳が耳鳴りを起こして、キーン、と音が頭の中に響いている。
「てめぇ、左耳に向かって大声だけは止めろ……」
マジでキツイ、と言って、ユーリは耳を押さえた。
自分の声もちゃんと聞こえない。
「すず、悪くないよ。だって肩揺らしたもん」
「……他に起こす方法あるだろ? ったく……。で、なんで起こしたんだ?」
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