8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
ダメかぁ、とすずが諦めて目をつむると、突然頭を押さえ付けられて髪をワシャワシャされた。
驚いて目を開けると、ユーリが隣に座っていた。
「ひ、ひっど~い! せっかく綺麗に髪の毛梳かしたのに!」
くしゃくしゃになった髪を押さえて、すずは涙目になって叫ぶ。
ユーリはそれを無視して彼女の髪に櫛を通した。
「……へ?」
「あんまりペタンコに髪梳くと、結んだ時に髪が少なく見えちまうぜ? せっかく髪多いんだ。少しは雑にした方が見た目良いんだよ」
「……そ、そう、なの?」
それを聞いたすずは大人しくなって、ユーリに背中を向けた。
ユーリは無言で彼女の髪を二つに分け、そしてすずの顔の横に手を出した。
「?」
「ゴム。無かったら結べねぇだろ」
「あっ、うん……」
すずは慌てて右手首からヘアゴムを二つ外して、うち一つを彼に渡した。
「あ。結び始めてからでなんだけど、昨日と同じで良い?」
「うん。すず、あの髪型好きだし!」
頬を染めてそう言って、彼女は体を揺らした。
最初のコメントを投稿しよう!