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「こら、動くな。ったく……」
コツンと頭を叩くと、すずは止まった。
片方を結び終えると、もう片方も結んでやる。
「はい、出来た。鏡見て確認してこい」
「良いよ。ユーリ、結んでくれるの上手だし。ありがとう!」
すずは笑顔でそう言って、のけ反るようにしてユーリを見上げた。
その時また彼の包帯が見えて、恐る恐る言ってみる。
「ねぇ、ユーリ。昨日のお話。なんで包帯巻いてるの? 見えないの?」
「ああ、そのことか。話すつもりだったけど、お前が寝てたからな。約束破ったの、お前の方だぜ?」
ユーリはポンとすずの頭に手を置いてから立ち上がり、しわくちゃになっている着物を羽織った。
「え? だってすず、ユーリがお風呂から上がって来るまで待って……あ……」
「思い出した?」
ユーリが意地悪い笑みを浮かべて聞くと、すずは俯いてしまった。
口を尖らせて、もじもじしながら言う。
「うぅ……だって、ユーリ遅かったし。すず、ちゃんと待ってようと思ってたけど……」
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