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すずも小さい手でユーリの大きな手をキュッと握る。
だが、なにか違和感があって顔を上げ、ユーリに言った。
「握手するんでしょ? なんでちゃんとしてくれないの?」
「これ以上力入らねぇんだよ。神経が麻痺してんのかなんだか知らねぇけど」
ふわ、と軽く手が触れているようにしか感じないユーリの手。
握力、と呼べるほどの力もない。
「……タバコの吸い過ぎで体おかしくなっちゃったの?」
「ばーか、違ぇよ」
すっと手を離してユーリは右手で左手を揉んだ。
感覚はしっかりとあるのだが、力が全く入らない。
「手だけじゃなくて、腕力もねぇんだ。試しに腕相撲するか?」
「いいよ。受けて立ってあげる」
すずは笑顔で言って、ユーリと向かい合う位置に座った。
肘をついて、左手を重ね、思い切り力を入れる。
途端、ユーリの腕は変な音を立てて変に曲がり、手の甲が机に直撃した。
「……い、ってぇ。……な? 弱ぇだろ?」
本気で痛かった。
肘が捻れたように鈍く痛む。
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