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「ひっど! すず、わざとやったんじゃないし! 大人気ないよ!!」
ニヤニヤと笑うユーリを睨んですずは叫び、痛い、痛いと涙目になって何度も肩と肘をさすった。
「……うぅ、まだ痛いし。もうやだぁ……」
すずは何度も愚痴を言いながら、未だに体をさすっている。
ユーリはそれを無視して立ち上がると、鍵を手にして部屋を出た。
彼がいなくなったことに気付いたすずは慌てて立ち上がり、急いで着物を着て部屋を出る。
彼はもう階段を下り始めていた。
「……もう! ほんとに意地悪」
プンプンしながらすずは呟いて、忘れ物がないか部屋の中を確認してユーリの後を追った。
一階に降りてやっと追い付く。
「あぁ、おはようございます。もうお出かけですか?」
「ああ。ゆっくりさせてもらったぜ。サンキューな」
鍵を宿主に手渡しながらユーリは言う。
「……料金についてですが、一泊としてカウントしてよろしいですか? 本来なら、今日の夕方までご利用いただくことが出来ますが……」
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