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ようやく火がつき、ユーリは息を吸う。
「……またタバコ。すず、道分からないし。ユーリが道案内してよ」
「だから、目的があんのはお前の方だろ? なんでオレが前歩かなきゃなんねぇんだよ」
「だから、道が分からないって言ってるでしょ!」
しばらく言い争いをしながら歩いていたが、ふとユーリがなにかに気付いて立ち止まる。
すずも立ち止まって、彼の視線の先にあるなにかに目をやる。
「……お尋ね者、少女鈴蘭。見つけた者には言い値の報酬を与える……」
ユーリの視線の先にあったのは一枚の貼紙だった。
それを読み上げたユーリの声を聞いたすずは首を傾げる。
「? どういう意味?」
「犯罪者鈴蘭を探しています。見つけてくれた人にはいくらでも金を払ってあげますよ、だってさ」
「は、犯罪者!? すず、なんにも悪いことしてないし!!」
驚いて、思わず大声で言ったすずを見下ろして、ユーリは人差し指を口に当てた。
「んな大声出すなよ。バレるだろ」
「あぅ……」
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