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当たり前のことを注意されてすずは俯く。
「に、してもスゲェな。一日でこんな手配書作られるなんて。オレん時はこんな迅速な対応取ってなかったぜ? なにやらかしたんだよ」
「だから、すずはなんにもしてないし……」
唇を噛んで、更に俯くすず。
ただでさえ小さい体が更に小さく見える。
「……こんだけパパに大事にされてるってことか? 歪んだ愛情だな」
ユーリは周りを見渡してから貼紙を剥がすと、手配書の作成者がライラックであることを確認する。
(シャガ研究所じゃなく、ライラックが……。何者なんだよ、こいつ……)
ふぅ、と煙を吐いて、ユーリは歩き出した。
すずはパッと顔を上げて彼の背を見つめ、また俯く。
彼女がついて来ないことに気付いたユーリは振り返ってポツンと突っ立っているすずに声を掛ける。
「おい、置いてくぞ?」
「っ! ん……」
通りを歩く人々が不思議そうにすずを見て歩いて行く。
しかし彼女は歩き出さず、寂しそうに立っているだけ。
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