8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
イラついたユーリはため息をつき、キセルをしまいながら来た道を戻って乱暴に彼女の手を掴んだ。
「!?」
そして容赦なく大股で歩く。
「や、ちょ……ねぇ! 早い!!」
手を掴まれてしまっては抵抗出来ない。
すずはよろけながら走るように彼について行き、というか引っ張られ、ある程度行ったところで解放された。
「なにすんの!? すず、転びそうになったし!」
「お前がうじうじしてるからだろ? さっさとママ捜すんじゃねぇのかよ」
「あ……」
すずは俯き、ユーリはキセルを出そうとして、止めた。
「なんならオレがお前をライラックに連れていっても良いんだぜ? お前はパパのところに帰れて、オレは多額の懸賞金をもらう。ほら、一件落着」
「や、そんなのヤダ。そもそもそんなことしたら、ユーリも捕まるし」
「御名答。だから、オレのこと気にしなくて良いっての。ま、お前がパパんとこ帰りたきゃ勝手に帰れば良いし」
ユーリは薄く笑いながら言うと、欠伸をしながら再び歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!