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すずはパアッと顔を明るくして、またユーリと手を繋いで頷いた。
「ママに会えるかも!」
「保証は出来ねぇぞ? その番号、明らかに住所じゃないからな。一応、行ってみるだけだ。良いな?」
「うん!」
すずは満面の笑みを浮かべて、ユーリと一緒に歩く。
ユーリは右手を封じられたせいでキセルを取り出せないことに初めはイラついていたが、いつの間にか全く気にならなくなっていた。
「ねぇユーリ。ちくってなに? なんのことなの?」
「お前、地区もわかんねぇの? 世間知らずにもほどがあんだろ」
「だって、知らないものは知らないし……。教えてくれたって良いでしょ?」
広くない通りを手を繋ぎ、会話をしながら歩く。
今日は警察もウロついていないし、すずも人目をあまり気にしていない様子だ。
ただ、やはり変な組み合わせ。
ジロジロとすれ違う人々が痛い視線をぶつけて行く。
「地区ってのは、人間が住む地域の区分け。AからL地区まである。それ以下は、ちょっとヤバい人達がいるな」
いろんな意味で、と付け足して言うと、すずがすかさず言う。
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