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「案外敵の中に身を隠す方が見つからないんだよ」
笑いながら言ったユーリの言葉を聞いて、すずはうえ~、と変な声を出してげんなりする。
だってありえない。
服装も顔も派手な上、ほぼ常にキセルをくわえているんだから。
嫌でも目立つと言うのに、わざわざライラックの目下にいるなんて。
「ユーリってバカなの?」
「いや、一回りして天才」
「…………」
自分で天才とか。
そういう人ほどバカだと言うのに。
すずは呆れて再び辺りに目をやった。
超一流階級と同じフロア。
あまりそう感じないのは何故だろう。
「ねぇ。ここも一応シーちくで、超一流かいきゅーの人が住んでるんでしょ? なんか、そんな感じしないね」
「ああ。この辺りの人間は、身内がライラック入社試験に受かったから引っ越して来た……そんな連中だからな」
ん? と首を傾げるすずに、ユーリはもう少し分かりやすく説明してやる為に頭の中を整理する。
「ん~。家族、親戚の内から一人でもライラックに勤めるようになったら、ライラックから補助が下りるんだよ」
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