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「誰が言ってたんだ? パパ?」
「パパはそんなこと言わないし。……言ってたのは誰だか知らないけど、知ってるの。それにユーリの心は冷たくないと思うし」
ニコッと可愛らしく笑ったすずを見て、ユーリは思わず呼吸が乱れてむせた。
咳込んで、胸を叩く。
「ほらぁ、タバコなんて吸うから」
「ち、ちげぇよ。なんか今、変な感じしてよ……」
「変な感じ?」
すずが問うが、ユーリはその後何も答えなかった。
名残惜しいが火を消してしまい、すずと手を繋ぐ。
すずは嬉しそうにエヘヘ、と笑ってスキップしだしそうな軽い足取りで歩く。
「イー地区までどれくらいかかるの?」
「……歩きだとどれくらいかな。飛空機とか、列車乗ればすぐだが。オレらは使えねぇしな」
「なんで?」
こいつ、ほんとになにも考えてねぇ。
ユーリは顔を歪めて強く、しかし小声で言い返す。
「指名手配犯が公共の乗り物使うか?」
「堂々とシーちくにいたユーリに言われたくないし」
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