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それを言われちゃ言い返せない。
ユーリはため息をついて辺りを見渡した。
今何時頃だろうか。
「じゃあ、そのお話は良いや。ユーリが連れてってくれるし。で、新しいお話。ユーリは昔はどこに住んでたの?」
「唐突だな。どの辺りだと思う?」
「ん~。でもユーリお洒落さんだしなぁ。やっぱり真ん中くらい?」
ぐいっと顔を上げると、彼はなんだか変な笑みを浮かべていた。
それを見てすずも変な顔をする。
「オレ、こう見えても結構良家の生まれなんだぜ? E地区一番の金持ち家」
「え!? ユーリってお坊ちゃんなんだ。見えないなぁ……」
呆れながらすずは言って、ふと見上げた空に見える大きな雲の塊を見つめた。
なんだか美味しそう。
そういえばお腹空いてきた。
「……勝手に言ってろ。昔は、一応真面目に生きてたんだけどな……」
「そうなんだ。ねぇ、ユーリ。すず、お腹空いた」
「オレの話終わりかよ。……なに食いたい?」
話を打ち切られてユーリは不服そうにしながら彼女に聞く。
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