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バッとユーリの手を放したすずはそう言って、目に入る光景から目を背けた。
手を解放されたユーリはキセルを取り出して火をつけ、吸って気分が落ち着くとすずを見下ろした。
「じゃあここで別れるか? でも道わかんねぇんだよな? どうする?」
「い、意地悪……!」
すずは泣きそうになりながら、ちらりと大通りに目をやる。
派手で奇抜な着物を着た女達が男と腕を組んで妖艶な笑みを浮かべて歩いている。
まだ真昼間だというのにすごい人数だ。
建物もとてつもなく多い。
「こ、子供がこんなとこに来ちゃいけない気、するし……」
「お前八つだっけ? 八つなら、もうここで働けるぜ? ここでは最低六歳から働けるからな」
「ろ、ろく!?」
ユーリは頷いて、歩き出してしまった。
すずは困惑し、キョロキョロと辺りを見渡す。
異様な空間。
なんだか気持ち悪い。
すずは駆け出して、ユーリの足にしがみついた。
「うわっ! おい、足にくっつくのやめろ。コケるだろ」
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