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「……すず、ゆーかくとかよくわかんないけど……助けられなかったの?」
「あの遊郭はな、一度入ったら永久に出ることは許されないんだよ。どんな理由でもな。二十年以上居りゃ、許されることもあるみたいだが……。だから、唯一遊郭から出られるのは死んだ時だけなんだよ」
それを聞いたすずはまた俯いて、なにも言わなくなってしまった。
見た目がどんなに派手でも、みんな心では泣いてるのかも。
そう思って、なんだか息苦しくなってしまった。
その後二人は無言で、重苦しい雰囲気の中蕎麦がきた。
ユーリが先に食べ出して、すずもそれに続く。
とても美味しい。
遊郭の空気でどんよりとした気持ちが晴れて行くようだ。
「……そういえば、すず達、昨日の夜ご飯も食べてないんだよね。ユーリってお腹空かないの?」
「食べるってことに無関心だからな、オレは。飯に高い金払うヤツの気が知れねぇ」
「……ん?」
矛盾を感じたすずは首を傾げて考え込み、一旦食べるのをやめる。
「でもユーリ、自然のものが良いって……昨日言ってたよね? なんか、言ってること目茶苦茶だよ?」
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