蝶は花を求めて

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「前に言ったろ? 人工物は全てクローン。保存料、着色料に漬け込まれた毒だって」 「タバコみたいに毒なのはわかったよ。クローンってなに?」 タバコみたいに、の部分でユーリはキセルを一旦口から外し、ため息をついた。 「クローンってのは、遺伝子情報をコピーして造る劣化モンだ」 「いでんしじょーほー?」 「そ。例えば……オレで良いや。オレは人間で、莫大な遺伝子情報を持ってる。遺伝子情報ってのは、その人間を造る為に必要な数字だって思えば良い」 ふんふん、とすずは相槌を打つ。 「その数字をコピーして少し弄れば、またオレ……クロユリって人間が造れるって訳だ。同じ数字だからな」 「おんなじ番号なら、おんなじ人が造れるってことだね? ほんとに出来んの?」 「今は食いもん全般と服の原料だけ実用化されてる。人間は、人権とか絡んで面倒だし、まだ成功してなかったはずだな」 へぇ、と言って、すずはユーリの手を握る手に力をこめた。 「ユーリって、ほんとになんでも知ってるんだね! 研究所の人みたいだったし!」
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