8人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「前に言ったろ? 人工物は全てクローン。保存料、着色料に漬け込まれた毒だって」
「タバコみたいに毒なのはわかったよ。クローンってなに?」
タバコみたいに、の部分でユーリはキセルを一旦口から外し、ため息をついた。
「クローンってのは、遺伝子情報をコピーして造る劣化モンだ」
「いでんしじょーほー?」
「そ。例えば……オレで良いや。オレは人間で、莫大な遺伝子情報を持ってる。遺伝子情報ってのは、その人間を造る為に必要な数字だって思えば良い」
ふんふん、とすずは相槌を打つ。
「その数字をコピーして少し弄れば、またオレ……クロユリって人間が造れるって訳だ。同じ数字だからな」
「おんなじ番号なら、おんなじ人が造れるってことだね? ほんとに出来んの?」
「今は食いもん全般と服の原料だけ実用化されてる。人間は、人権とか絡んで面倒だし、まだ成功してなかったはずだな」
へぇ、と言って、すずはユーリの手を握る手に力をこめた。
「ユーリって、ほんとになんでも知ってるんだね! 研究所の人みたいだったし!」
最初のコメントを投稿しよう!