蝶は花を求めて

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「あいつらなんかと一緒にすんなよ。そもそも、こんな人相の悪い研究者いるか?」 自分を嘲笑するようにしながらユーリは言って、キセルを口に当てた。 「でも、ほんとにわかりやすかったし。ユーリってほんとに天才なの?」 「……ん、まぁ……」 いつもと違い、歯切れの悪い返事をして、彼は息を吸った。 彼の歯切れの悪さを気にせず、すずは更に問う。 「でもユーリ、さっきクローンはれっかものって言ってたよね? 本物とおんなじに造れないの?」 「無理。コピーはコピーだ。クローンは造る途中に必ず遺伝子が傷付くんだよ。3が4になっちまったり、な」 「数字が変わって傷付いちゃうと、どうなっちゃうの?」 ユーリは空を見上げながら息を吐いて、煙と雲の白い靄を見つめる。 相変わらず青い空が綺麗だ。 「厳密には数字なんて単純なもんじゃねぇけどな……。傷付くと、病気とかケガしてる状態になる」 すずは頭の中で、元気なイチゴの隣でもう一つのイチゴがケガをして泣いているのを想像する。 かわいそう。
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