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「そんな劣化モン、食いたくねぇだろ? 食ったら人体の健康に影響出るってことも、とっくに立証されてんだぜ?」
「え? それって良いの? 分かってるのに危ないもの売るの……」
「研究所の権力は絶大だし、後ろにライラックがついてるからな。……国民の命より、利益を優先する奴らなんだよ」
クローン技術は現代無くてはならないものとなっている。
安く大量に物を生産出来るこの技術は、既に国の五割以上の利益を占めている。
閉鎖されたライラック下のこの国では、他国の情勢を知ることは出来ない。
知っているのはライラックの、しかも上層部のみ。
欠陥のあるクローン技術をここまで広めたのは、多分この国の唯一の特異点がこれしかないからなのだろう。
全てユーリの考えだが。
「じゃあ、ほんとに人工のものって怖いんだね。すず、研究所にいた時に食べてたの……全部クローンかも」
「だろうな」
「美味しいもの、あんまり食べなかったし。昨日、パフェのイチゴ食べたけど、やっぱりケガしてなくて元気なイチゴの方が美味しかったし」
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