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また、すずの頭の中にぽわぽわと二匹のイチゴが浮かんで来る。
多分、この図を見たらユーリは笑うだろうが。
「お前、理解早いな。将来研究者になれるんじゃねぇ?」
「それはユーリの方じゃない? なんで研究者にならなかったの? 犯罪者じゃなかったら、今からでもなれそうなのに」
「……いろいろワケありなんだよ」
ユーリはそう言って、辺りを見渡した。
店も宿屋も特にない。
どうしようかと悩んで、またすずの手配書を見つけた。
「なぁ、こんなとこにも貼紙されてるぜ? お前」
「……ほんとだ」
手配書に近付いて、書かれていることを読む。
内容は変わらないが、彼女の顔写真が載せられていた。
今より少し幼い感じがするが、明らかにすずだ。
「有名人だな」
「や、ヤダよ。こんな有名人……」
「まあ髪結んでるし、まじまじと見られなきゃ気付かれねぇだろ。……服変えるか?」
服? とすずがユーリを見上げながら聞く。
彼は頷いて、写真に写っている赤い着物を指差した。
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