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「……ひめ」
「? あ。ユーリも小さい頃に絵本読んでもらったの思い出したの?」
「いや? オレ、絵本なんて読んでもらったことねぇし」
キセルの火を消し、袂にしまって一息つく。
なんだか胸がムカムカする。
「お。ちょうど服屋が出て来たぞ? 寄るか?」
言われてすずは考え込む。
ちらりと自分の着物を見下ろして、悩む。
「これ、パパが買ってきてくれたやつなんだよね。あんまり変えたくない……」
「じゃあ良いんじゃね? 無理に変える必要ねぇだろ」
「でも、すずがすずだってバレちゃわない?」
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