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不安そうなすずの言葉を聞いたユーリは彼女を見下ろして言う。
「オレは気にしなくても良いと思うけど?」
「そうかなぁ。すず……買う、買わないは別で、服屋さん見たい! 見ても良い?」
「ああ、好きにしろ。気に入ったのありゃ買ってやる」
ユーリがすずの手を放すと、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべて頷いた。
そして服屋に向かう。
と、その前に。
「おい、すず」
「?」
「大丈夫だろうが、一応顔見られないようにしろよ」
その言葉にもすずは素直に頷いて、駆け足で店に向かった。
ユーリはやれやれと言った感じで、ゆっくりと彼女の後を行く。
「いらっしゃい」
店主は優しそうな恰幅の良い中年の女性だ。
すずは出来るだけ彼女に近づかないようにして、店の中を見る。
着物と服。それぞれ様々な種類が置かれている。
すずはそれらに目を輝かせ、追いついたユーリも一通り店内を見る。
「すごーい。いろんな服があるね~」
着物には興味を示さず、すずは服の方に向かう。
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