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ユーリはどちらかと言えば着物の方に興味があるので、なんだか納得出来ないまま彼女の後ろを着いていく。
男性用、女性用。
そして子供用。
子供服の売り場に着いたすずはその場にある服を見渡して、それから等身大の人形が着ているワンピースを見つめた。
ピンクで可愛い、ふわふわしたワンピース。
「なんだ? 気に入ったのか?」
「すず、こういうの好き。絵本のお姫様みたいだし」
「ふーん」
感情の篭っていない平坦な声を上げて、ユーリは人形の着ている服を見下ろす。
結構フリフリしている。
「お前、そういうの好きなんだ」
「べ、別に趣味ではないし。ちょっと好きかなぁ、って思っただけだし」
顔を赤くして、すずは言う。
ユーリは売り場から同じ物を見つけて、彼女の体に合わせてやる。
「まあ、似合わなくはねぇな」
それから値札を見て、少し後悔した。
「どうする? こんなの着てたら、逆に目立ちそうだが……」
「でもすず、欲しいな。そういう服、着てみたい……」
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