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珍しく素直なすずに、ユーリは笑顔になる。
「じゃあ一回試着させてもらうか? 体に合うようなら、買ってやるよ。着る着ないは別で。服なんて、すぐに違う物と入れ替わっちまうからな」
ある時に買った方が良い、と言って、彼は店主に試着の許可をもらう。
もらって、すずに伝え、彼女は試着室で着替え始めた。
着替えは自分で出来るんだ、と思いながら、ユーリは一人暇な時間を過ごす。
しばらくして、すずが出て来た。
「……ど、どう? 変?」
心配そうに、小さく言ったすず。
その姿は小さいお姫様みたいだった。
可愛らしい。
「…………」
ユーリはしばらくそんな彼女を見下ろして、ふと変な感覚に襲われた。
今日、すずの笑顔を見た時と同じ、胸の内を鷲掴みにされたような。
「ね、ねぇ。どうなの?」
「……え? あ、あぁ……良いんじゃね? 似合ってる」
「ほんとにぃ? なんか変な間があったから信用出来ないし……」
すずはいじけて、俯いてしまった。
ユーリは悪い悪いと言って、彼女の頭を撫でてやる。
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