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そのままユーリは寝ようと考えたが、このまま寝ると畳に体が負ける気がして目を開けた。
布団を二枚敷いて、うち一枚の上に横になる。
頭の後ろで手を組み、足は足で組み、またなにもない天井を見上げる。
なんだか最近、胸やけがひどい。
すずに会ってから、一度も心が休まらないというか、何と言うか。
もともと休まる、なんてことは皆無に等しかったが、なにか違う。
気持ちがざわついている。
「……はぁ」
ユーリは深くため息をついて、そのまま目をつむった。
すずはそれから少ししてキャミソール姿で風呂から上がり、くしゃくしゃの着物を持って部屋に戻って来る。
上手に髪を乾かせないから、またタオルを乗っけて来る。
ぽたぽたと水が垂れていることに彼女は気づいていない。
「……あ。寝てる」
布団の上で寝ているユーリを見たすずは着物を置いて小さく言い、口を尖らせた。
彼はいつも自分を待ってくれない。
ぷくぅ、と頬を膨らませ、机の上にある紙を置いたばかりの着物の袂に入れた。
そして、髪が濡れたままユーリの顔を覗き込んだ。
「……ち、冷てぇな。なんだよ」
「あ、起きた!」
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