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-小さな勇気-
――5月12日。
遂に明日、俺は友達を誘おうと思う。
俺は緊張していた。
なぜなら、高校に入り初めて友達を家に誘おうと思ったのだ。
高校に入ってから、友達からの遊びの誘いは来るけど、自分から誘ったことは一度もなかった。
そういう意味で明日は俺にとって、大切な日になると思う。
その日は落ち着かなかった。
――5月13日。
当日。
俺はバス通学だ。
家から学校まで約1時間掛かる。
急いで支度をして、家を出なければならない。
学校がある日は毎日大忙しだ。
その日は偶然、高校1年生の2学期頃に仲良くなった、遼とバッタリ電車の中で会った。
仲良くなったというのも、遼とは趣味が似てて、帰る方向も途中まで一緒だったからだ。
ついでに凄く優しい性格だ。
俺はいつもの様に古いネタをお見舞いした。
『おはようさぎー!』
俺が笑顔で言うと、遼も笑って、
『古いんだよ~』
なんて、キレのない突っ込みをしてくるのは、いつものお決まりだ。
高校1年と変わらない登校。
でも、2年間の付き合いだから、こいつと居ると落ち着く。
『○○のゲームさぁ…。』
みたいな他愛もない話をしてたら、1時間なんてあっという間だ。
こうして見慣れた学校に着いた。
ふと、駐輪場の方を見ると、俺の数少ない仲良い友達の中の「タカ」が偶然いた。
名前は「隆之」。
あだ名が「タカ」なんだ。
普通だよな笑
俺が家に呼ぼうとしている友達だ。
遼には悪いが、俺はいきなり走り出し、タカの元に駆け寄った。
『やほー!』
俺はいつもより大きな声をあげて、挨拶をした。
『おう! たっちゃんかw』
と、いつもの犬みたいな優しい笑顔を見せた。
俺のあだ名は「たっちゃん」。
名前は「拓哉」。
まぁ俺のも普通のあだ名だよな笑
駆け寄ったのはいいが、あまり話す内容がない。
趣味もそこまで一緒というわけでもないし、何しろ、どっちも話す側としては受け身と受け身だから。
だが、俺はタカの隣に居ると何だか落ち着く。
その理由の1つとして、多分、俺と似ている部分があるからだろう。
性格が何処となく似ている気がしたんだ――
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